
グレージュ、モーブ、ダスティピンク…“くすみカラー”はおしゃれ度が一気に上がる反面、顔色が暗く見える・重たく見えると感じやすい色味でもあります。ポイントは、色そのものを変えるよりも「見え方」をデザインすること。美容師目線で、今日からできる3つの工夫をわかりやすく解説します。
工夫① 明度×彩度の「設計」を整える
くすみカラーは低彩度が魅力。だからこそ明度(明るさ)コントロールが仕上がりを左右します。顔色が沈む時は色味の問題ではなく、明度が低い(暗すぎる)ことが原因のことが多いです。
似合わせの具体ポイント
- 肌がイエベ寄り:くすみベージュ系は8〜10レベルで軽さを。極端に灰色に寄せず、微量の黄みを残す。
- 肌がブルベ寄り:モーブ/ラベンダー系は7〜9レベルで透明感を。青みを感じる補色で黄ばみを抑制。
- 根元〜毛先の明度差:根元は-0.5〜1レベル暗め、毛先に向けてほんのり明るく。“面で見るとフラット、線で見ると立体”が理想。
「同じ色でも似合い方が違う」のは、この明度×彩度の設計が人によって最適解が違うから。サロンでは肌色・瞳の色・普段の服のトーンまで見て微調整します。
工夫② ツヤ×透け感の「質感」を作る

くすみカラーはマットに傾きやすい=光を吸いやすい色域。色だけでツヤを足すのではなく、ヘアケアとスタイリングで“光の通り道”を作るのが近道です。
今日からできる質感レシピ
- ドライヤー:上から下へキューティクル方向に風を通し、最後は冷風で10秒固定。面が整い、色がワンランク上に見える。
- スタイリング:軽めのミルク→コームで均一化→仕上げにバーム“米粒2つ分”を耳下のみ。ベタつき回避で透け感キープ。
- ポイントオイル:表面・毛先のハイライト部分にだけ指先で“なで塗り”。全体に塗らないのがコツ。
- 週1集中ケア:色落ちを早める高洗浄タイプを避け、アミノ酸系シャンプー+マスクで水分保持。
ツヤが出ると、同じ“くすみ”でも「柔らかいニュアンス」として目に入ります。逆にパサつきがあると一気に地味見え・疲れ顔に傾くので要注意。
工夫③ 肌×服×光の「合わせ方」を味方に
ヘアカラー単体ではなく、肌・服・光(ライティング)まで含めて設計すると、くすみカラーが一気に洗練されます。
トータルコーデの実践テク
- 肌(メイク):血色感を足すなら粘膜カラーのリップ、くすみを透けさせたい日はツヤ下地×ハイライトで顔の高い位置に光を。
- 服:トップスは白・エクリュ・ライトグレーなど明度の高い無彩色を。濃色トップスなら襟元に白を足すと顔色が上向き。
- アクセ:ブルベはシルバー、イエベはゴールドを軸に。耳〜首の“光る面”を作るとヘアのくすみが上品に。
- 光:屋内撮影は窓から45°の自然光+室内灯は弱め。逆光で“透け感”を、順光で“ツヤ面”を強調。
同じヘアでも、この3点を整えるだけで「地味」→「洗練」にスイッチできます。明日のコーデから試してみてください。
迷った日の“1分レスキュー”
- 毛先〜中間を霧吹きで軽く湿らせる。
- 上から下へドライ→冷風で面を固定。
- バームを米粒2つ分、耳下のみ→表面は指先に残りを“なで塗り”。
よくある失敗と回避策
- 暗くしすぎた:前髪・顔まわりだけ半トーン明るくしてレフ効果を作る。
- くすみ過ぎで地味:毛先にほんのりハイライト or 透けバングで光の抜け道を。
- オイルでベタつく:量は半分に。まずは耳下のみ→足りない所に少量追加。
今日から使えるチェックリスト
- 自分の肌に合わせて明度7〜10の中でベストを見つける
- 仕上げは冷風10秒で面ツヤ固定
- トップスは明度高めで顔まわりにレフ効果
まとめ|“色を変える”より“見え方をデザイン”
くすみカラーは、明度×彩度の設計、ツヤ×透けの質感、肌×服×光の合わせ方の3セットでキレイが完成します。色を変えずに“見え方”を整える——この発想で、明日からのヘアがもっと洗練されます。